モラハラとは？基本の意味と定義
モラルハラスメント（モラハラ）とは、言葉や態度で相手を傷つけ、精神的に追い詰める行為のこと。
フランスの精神科医マリー＝フランス・イルゴイエンヌが提唱した概念で、「見えない暴力」とも呼ばれています。
身体的暴力（DV）とは違い、モラハラは暴言・無視・否定的態度などによる精神的支配が中心。
外からはわかりにくいため、周囲が気づかないまま長期間続くこともあります。
DVとの違い
DVは殴る・蹴るといった身体的暴力が明確ですが、モラハラは言葉や態度で相手の尊厳を傷つける行為。
たとえば「どうせお前には無理だ」「誰もお前を相手にしない」などの発言は、相手の自尊心を奪い、長期的には心身に深刻な影響を与えます。
「これもモラハラ？」と思われやすい行動の例
- 無視、舌打ち、ため息などの冷たい態度
- 自分の都合で不機嫌になり、相手を責める
- 「俺が養ってやってる」などの発言で支配する
- SNSで相手を監視・束縛する
- 周囲には良い顔をし、家庭内でのみ攻撃的になる
これらが日常的・継続的に行われると、モラハラに該当します。
被害者は「怒らせないようにしなきゃ」と萎縮し、支配関係が固定化していきます。
モラハラをする人の特徴と心理
モラハラ加害者は、表面上は「しっかりしている」「真面目」と見えることもあります。
しかし内面には、強い支配欲・承認欲求・劣等感が隠れています。
無視・舌打ち・暴言などで支配する
相手が怯えたり焦ったりする反応を見ることで、自分の支配力を確認します。
無言の圧力や冷たい態度も「コントロールの一手段」です。
思い通りにならないと人格を否定する
「お前はバカだ」「だからダメなんだ」といった人格攻撃を繰り返し、相手の自信を奪います。
相手を否定することで、自分の優位性を保とうとします。
間違いを認めず責任転嫁する
自分の非を認めることを極端に恐れます。
そのため、問題が起きても「お前のせいだ」「俺は悪くない」と責任を押しつけます。
世間体が良く外面がいい
外では笑顔で親切、家では冷酷。
「他人の前では良い夫・上司を演じる」ため、被害者が相談しても信じてもらえないケースが多いです。
嘘をつき、相手を混乱させる（ガスライティング）
事実をすり替えたり、言ったことを否定したりして相手を混乱させます。
被害者は「自分がおかしいのかも」と思い込み、精神的に支配されていきます。
モラハラを受けやすい人の特徴
モラハラ被害者は「性格が弱い」わけではありません。
むしろ、優しく、責任感が強く、真面目な人ほど狙われやすい傾向があります。
自己主張が苦手で我慢しがち
対立を避けるために、相手に合わせる癖がついている人は要注意です。
加害者への恐怖心を持っている
過去に怒鳴られた経験がトラウマになり、反論できなくなることがあります。
他人を優先しがち
「相手の機嫌を損ねないように」と考えすぎて、常に気を使ってしまいます。
自己肯定感が低い
「自分が悪い」「我慢すればうまくいく」と考え、モラハラを許容してしまう傾向があります。
責任感が強く、生真面目
加害者の言葉を真に受けてしまい、必要以上に自分を責めてしまいます。
モラハラの具体的な事例
夫婦間での例
- 話しかけても無視を続ける
- 料理や掃除を批判する
- 生活費を渡さず、経済的に支配する
- 「離婚しても誰もお前をもらわない」と言う
職場での例
- 特定の部下だけに過度なノルマを課す
- 会議で人格を否定するような発言をする
- 連絡事項を伝えず、わざと失敗させる
SNS・オンラインでの例
- DMで侮辱的な発言を繰り返す
- 常にオンライン状況を監視する
- コメント欄で相手を傷つけるような投稿をする
モラハラチェックリスト
加害者によく見られる言動
- 無視や暴言で相手を支配する
- 自分の非を絶対に認めない
- 感情的に怒鳴り、すぐに不機嫌になる
- 周囲には良い顔をする
- 嘘をつき、過去の発言を否定する
被害者によく見られるサイン
- いつも相手の機嫌をうかがう
- 自分が悪いと感じることが多い
- 他人に相談しにくい
- 家や職場に行くのが怖い
- 眠れない・食欲がない
10項目以上当てはまる場合は、早めの相談をおすすめします。
モラハラに気づいたらどうする？対処法
まずは「自分を責めない」
モラハラは被害者の性格が原因ではありません。
相手の支配行動に「巻き込まれてしまった」だけです。
証拠を残す
- 発言やLINEのスクリーンショット
- 会話の録音
- 被害状況を日記に記録
記録は、後で法的手段を取る際の大切な証拠になります。
相談する
信頼できる友人・家族・職場の上司に話すことで、客観的な視点が得られます。
可能であれば弁護士や支援センターに相談しましょう。
距離をとる勇気を持つ
「離れる」「別居する」「部署を変える」など、物理的な距離を置くことも有効です。
相談できる窓口・支援機関
- 配偶者暴力相談支援センター（全国の自治体に設置）
→ 配偶者や恋人からの暴力・モラハラ相談に対応。 - 法テラス（日本司法支援センター）
→ 無料の法律相談や、弁護士紹介を受けられます。 - 警察相談専用ダイヤル（#9110）
→ 緊急性が低い場合の警察相談窓口。 - 労働局の総合労働相談コーナー
→ 職場でのパワハラ・モラハラ被害を相談可能。
まとめ：一人で抱え込まず、まずは相談を
モラハラは、「相手を変える」より「自分を守る行動」を取ることが第一歩です。
被害に気づいた時点で、すでにあなたは前に進み始めています。
心身の不調を感じたら、迷わず専門機関へ。
相談は勇気ではなく、「自分を大切にする行動」です。
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